日本の地方創生イタリア版
その地域にしかない質
古いものを残すということ
古くからあるものを、現代は古く捨て去るものとばかり考えてきたようですね。特に日本はそうだと思います。
町の景色がどこも似ている?
マルコポーロがある街を訪れたとき、その街の看板を見なければ自分の街に戻ってきたと錯覚するだろうと云ったとのことも、いまでは殆ど現実になっているように思います。
東京、名古屋、大阪、札幌(福岡は違うな)は主要都市であるの同時に、景色の均質性(景観がが同じように見える)も高いものがあります。それを何とも思わない自分に一石を投じる本。
その街(町、村)独自のものにこそ魅力や存在意義があるという。地域独自の魅力をどうやって維持・発展させていったかというイタリアの事例がたっぷりと書かれていました。
食の描写におなかが空く
地元のレストラン
地域的な発展政策、のような難しい記述ではなくて、著者が実際にその町、村を訪れてその町長さんなどとレストランで食事をしながら話を聞くというスタイルで書かれています。
イタリアならではの食事、つまりワイン、生ハム(かなり記載があり、これを読むと購入不可避)チーズ、トマト、魚介料理、パスタといったお料理を、それもローカルなエリアを旅してその土地どちのレストランを紹介していて読んでいておなかが空いてくる本でもあるのです。
ワインの有名エリア
ワイン好きなら間違いなく知っているトスカーナ、プーリア、マルケといったエリアのローカルを紹介しているのがいいですね。
また、例えばプーリアはプリミティーボ種のワインが有名なので豊かな土地なのだろうと思っていましたが、かなり貧困に喘ぎながらも立ち上がってきたことを知りましたし、エネルギー生産拠点(風力、太陽光でしょうか)としての立ち位置もあるようで勉強になります。
有機農業/オーガニックワイン
感動の遺言
終章に有機農業への想いを語るおじいさん、ジロロモーニの話があります。この章は特に地球の一部としての自分の存在を考えさせられる内容です。
効率化、経済的な成長ばかりを優先して来た結果、持続性も健康も、幸福感も失われてきている点。特に自分も含めた都市生活者は、何不自由のない環境にいるのにも関わらず、幸せそうな人、喜びに溢れた人は殆どいないように見えるもの。
有機ワインを片手に読み耽る
イタリア人がみた日本をもっと知りたい
日本の魅力は外国人に学ぶ
[はじめに]で書かれている、イタリア人から見た日本についての記述がとても面白いのです。やっとのことで到着した名古屋(大阪だっけな?)を均質的として批判しつつも、滋賀の田園まで来るとホッとする、そしてそばをすすりながら日本の素晴らしさを説くシーンなんて良かったですね。そういった素材があれば、もっと読みたいと思いました。