ワインと教養をつなぐ一冊。ワインの歴史からビジネス常識としてのワインまで有名シャトーから新世界まで満遍なく紹介する良い一冊。
著者はワインスペシャリスト
ニューヨーク在住のワインスペシャリスト、 オークショニア(という言葉があるらしいです初めて知りました) 。相当なセレブワイン会合に出席し超年代物のテイスティング経験もあるようです。
本の概要
ビジネスツールとしてのワイン・リテラシー的な本でした。ワイン好きと会話するための基礎知識という感じ。 とはいえロマネコンティからイエローテイル、アルパカまで総覧する内容です。
ワインファンへのオススメ
ワイン好きの方でかつワインの基礎知識を固めたい方にはうってつけだと思います。
印象ポイント
- ローマの拡大と栄養分としてのワイン。
- スイスでは社交知識/スキルとしての観点から16歳からワインが飲める
- ボルドーがなぜ品種ではなくシャトーで語られるのか。
- ブルゴーニュではボルドーと異なりなぜ[畑]で語られるのか。
- ボルドーに対してのナパバレーのあり方、ブラインドでのナパの完全勝利(”パリの審判”)
- イタリアのDOCG、DOCはフランスほど徹底されていない点。 (確かにマミーマートでキャンティのDOCGが600円だったりする)
- NZのピノはなぜコルクでなくスクリューキャップなのか。等々
総合
● 等身大で学べる、普段のワインライフを楽しくする一冊。
ボルドーが中心だが、ナパ、NZ、中国(!)など新世界の話も多く等身大の内容でちょうどいい具合に満遍なく基本を学べるのが良いですね。
● ワインへの情熱
ワインはどうして人をそこまでのめり込ませる魅力があるんだろう? と思います。年単位での作業、熟成期間も含めると数年かかるため投資回収も先の話なのに。自然を相手に取り組む人たちの情熱を考えます。。たぶん[好きだから]なのだと勝手に想像しました。好きの力ってすごいです。
● 日本ワイン
[甲州]の盛り上がりにも触れられています。 私も昨秋に山梨の酒蔵[旭洋酒]まで出向いて「ソレイユ甲州」を購入しましたが確かに特徴は薄いものの、かえって煮物などの和食には合うと思いました。蛇足ですが。
*日本的なワインのあり方は小倉ヒラクさんの『発酵文化人類学』が参考になります。
総じてワインが改めて好きになる本でした。 オークショニアゆえかややボルドーよりで、普段そこまで立派なものが飲めない自分にはイタリア/スペイン系品種(テンプラニーリョ、サンジョベ、ネグロアマロ、モンプルなど) の話がもう少しあると完璧だったですな。