『 世界は贈与でできている 』というタイトルから、”ギブ&ギブ”が社会をよくする心構え本と思いきや
「贈与」という概念を深掘りする哲学書でした。
“普通”が誰かによって達成された贈与とみる観点に
日常の危うさと希望を感じた一冊であります。
言語を深める内容で一読では私には難しい部分もありましたが、読み込んでしまう面白さがありました。
響いた点
・信頼とは相手と手段以上の関わりを持てるときに生まれる。
・多くの贈与ふうの行為は暗に返礼を求める「交換」
・誰にも迷惑をかけない社会は誰からも助けられない社会か。
・日常に隠された不安定つり合いと外力。
・仕事のやりがいや意味、使命感は、自分の受けとっ(てしまっ)た贈与を、
つなぎたい対象から、偶然かえってくる。等
世界は贈与でできている ときいて感じたこと
贈与 を受け取る想像力
贈与の主体は送る側でなく受取側にあるらしいです。
それを可能にするのが想像力というのが重要な指摘でありました。
自分が想像できなければ贈与は得られないと理解しました。
それを可能にするのが[勉強]という締めはシンプル過ぎるかもしれませんが、、
本書でいう地球史など自分の馴染みのない世界をもっと知りたいと感じています。
つなぐ自分/使命
贈与を感じることがやりがいや使命感に繋がるというのはどういうことか、まだ考えています。
自分だけで完結せず、生命や経験(美味しい/楽しい/感動)、
知識、伝統などを未来につなぐ存在としての自分は、はたしてどこにあるのか、考え込んでしまいます。
総じて、自分の想像力で世界はここまで素晴らしくなるのだ、
という日々に隠れた幸運を数々考えた時間でした。
本書で引用の多い小松左京も手にとってみたがSFの印象が変わりました。
本ってほんとうに世界が広がりますね..