【幕末の横浜を知る】『横濱唐人お吉異聞』/山崎洋子

なんども通った横浜

いつぞやからよく通っていた街が違って見えてくるようです。第三京浜道路から首都高へ入って湾岸線石川町。僕の、生まれて初めての、ドライブデートは横浜だったのでした。それからしばらくはその地を名残りよくクルマで出かけていました。山手の根岸、昔競馬場だった公園は桜の名所だったり、そこから山を降りると[元町]と呼ばれるずいぶん洒落っ気のある街並みだったことを今でも鮮明に覚えています。坂を下ってすぐの信号機。あの時は全てが新しい世界でした。クルマの運転も、横浜の街も。

横浜のおこりを知る

でもそれがどういう風に出来たものかを知ることは今の今までなかったように思います。幕末の横浜を舞台に繰り広げられる物語は、当時の歴史的な背景や描写が要所で描かれていて、ウル体験しかしていない自分の、横浜という街自体への興味が惹かれる内容でした。

amazonへ

なぜ中華街があそこにあるのか、なぜ山手に豪邸があり、元町という雰囲気のある街ができたのか。弁天通りとはなんなのか。本書で描かれる文章を追いながら、久しく訪れていない横浜に行きたくなりました。

漁村だった横浜村が大発展

当時は横浜はただの小さい漁村。本当は神奈川みなとが開港される予定だったと聞きます。今の東神奈川あたりの海でしょうか。そう考えると横浜という場所の持つ偶然的な発展を目の当たりにする気がして興味深いですね。。。

唐人お吉の背景も史実ベース

唐人お吉のモチーフはそれでいてかなり史実に忠実な表現が多いのもいいです。単なる素材ということもなく、しっかり史実を踏まえて描写されている。腫れ物ができて三日で解雇されたというような突っ込んだ内容も含めて、お吉好き(という表現はよくないかもしれませんが)の自分にも自然に受け入れられる表現が多くてよかったです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)