[:ja]【お盆休みの一冊に】『こころ』/夏目漱石[:]

旅する文庫/夏目漱石こころ

[:ja]

 

お盆休みの一冊に

久しぶりに読み返したが海や帰省の描写が多く、お盆休みの一冊にぴったり。

 

生まれたところは空気の色が違います。土地の匂いも格別です、父や母の記憶も濃(こま)やかに漂っています。一年のうちで、七、八のふた月をその中に包(くる)まれて、穴に入った蛇のように凝(じ)っとしているのは私にとって何より温かい良い心持だったのです。

『こころ』本文より

 

自分は東京生まれだからそういう気持ちがあまりわからず、ずっと羨ましく感じていた。(いまではそうでもないけど)

人間の弱さと赦し

人は状況次第で否応なく悪人になりうる。汚さ、ズルさ、それらがあって人間なんだと知る。表面の綺麗さ、いい人さ、完璧さみたいなものが嘘っぽく見かけなものだと映るのは、そのためだと感じた。そして、簡単に人の弱さを追窮できなくなる。不完全さ、弱さの集合体こそが人間だと思える。

 

なつかしき房総の地

保田、鯛の浦など縁のある房総の幾つかの地が出てくるのも良かった。小さい頃に家族で出掛けた保田の海岸は今でもそこに残っている。

 

知っている場所が小説に登場すると嬉しいものなのだ。

 

 

旅にお気に入りの一冊を。

-tabi-izum 旅する文庫-[:]

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