【家族的な協力感が導く豊かさ】『富山は日本のスウェーデン』/井出英策

富山/スウェーデン/地方創生/本/豊かさ

新潟の地を好む自分にとって

湯沢から六日町、大和から小出、小千谷、長岡、そして新潟市。関越トンネルをくぐった先は僕にとっての天国のようなものです。

意外なほどの自然感

なぜか、それは空が広いから。それは誇張でもなんでもなく広いですね、ここまでの広い空を見たことがなかったものだから。そして米がうまいから。酒がうまいから。それは水と大地が生んだめぐみに感謝する気持ちです。自分は此の大地とともに生きているし、むしろ自分もその一部分だと実感しているように思います。

隣の国、富山について

その新潟にほど近い富山の話。白馬から糸魚川に抜けて、北陸道を親不知を通っては知れば富山である。高速道路のすぐ脇に富山空港があるから、[脇見注意]の看板がでていたりする。それくらい広い大地。

豊かさとは何か

酒肴の旨さ岳で終わっていた自分でしたが、此の本を読んで此の地にすむ人の生活を学べました。特に三世代同居による女性の職場進出、それに伴う世帯年収の高さ。確かに富山では広々とした風景に大きな立派な家をいくつも見たような気がします。

家族的な協力感がつくりだすもの

そして、地方創生には”家族”的といういわば保守的な考え方が活かせるという要旨には、個の限界を知る思いがしました。よくよく考えてみると、都会の個モードは人口過密があるから成立しているように感じます。人口が過多だからこそ、その逆ベクトルでの個も凝縮的な様相を呈するというか。そこにあるのは、自然ではない行き過ぎな協力擬態社会ですね。そうではなくて、あくまでも自然な規模での協力感、それが本書の富山にみる家族感であるように思いました。簡単にいうと、人々が協力して成立する社会の適当なサイズ感。想像する部分が多いけれど、そういう思いを持ちました。

図書館設営を指向するセンス

さらに小さな村が、ベッドタウン開発とともに図書館を駅近くに作った話など感動的でした。僕は思うのですが、図書館というものは、多様性を受け入れるアイコンなのではないかと思うのです。個々まで多様な意見のある世界と向き合って、対ひとでは抵抗のある考え方も、本からなら素直に学べます。自分と異なった意見も、それ自体は自分の考えと同じくらいまずは正しい。そういう立ち位置に立てるか。そのアイコンが図書館、本なのだと思います。その意味で、駅横に図書館を作るそのセンスは素晴らしいですね。特にこれからは”よそ者”も受け入れていかなくてはならないような場所でありながらその姿勢があることに感動しました。
スウェーデンの話は余深掘りされておらず、基本的には富山の話です。なので、スウェーデンの社会民主主義を学ぶにはもう少し別の書籍のほうが良いのかもしれませんが。

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